乗り移り短編集
熱帯夜
作:トゥルー

同じマンションに住む亜美さんは、娘との二人暮しだ。
娘の美織ちゃんはまだ小学生。
旦那さんは美織ちゃんが幼い頃に死別したらしい。

母親一人で子供を育てると言うのは大変だろうが、亜美さんはそこら辺にいるオバサンたちなんかとは比べものにならないくらい素敵な人だった。
いつも陽気で人当たりもよく、俺のような浪人生相手にも毎朝丁寧に挨拶してくれる。
ハッキリ言って俺は、亜美さんにゾッコンだった。

彼女とヤりたい。
暇さえあれば亜美さんの姿を思い浮かべ、毎晩悶々と夢想していた。
しかしいくら願った所で、俺みたいなガキと大人の女性である彼女がそんな関係になるハズはない。
ハズはないのだが――
驚くべき事に俺はある日、そんな無茶な夢を叶えられる方法を知った。

偶然闇サイトで発見した幽体離脱薬。
これを使えば、文字通り幽体を自分の肉体から切り離し、自由に動き回る事が出来るようになるらしい。
そうなれば壁だって通り抜けられるし、他人に乗り移る事だって出来る。
そう――亜美さんの体に"乗り移れる”んだ。

彼女に乗り移れば、その体は俺の支配下となる。
どんな事も、俺の思いのままになるハズだ。
俺が亜美さんに、あの亜美さんの体に。
彼女のすべてが、自分のものになるんだ。
この薬の存在を知った時から、俺の頭の中は亜美さんの体で楽しむ事で一杯になっていた。

興奮覚めやらぬうちに、すぐに闇サイトで幽体離脱薬を注文し、ブツが届いた深夜、俺は早速亜美さんに乗り移る事にした。

薬を飲み干し、ベッドに横たわる。
急激に眠気が襲ってきて一瞬意識が途切れたが、次に気づいた時にはすでに幽体離脱は成功していた。
どうやら俺は、いわゆる『人魂』のような姿になっているらしい。
青い球体と化した格好で空にプカプカと浮かび、下には仮死状態で眠っている俺の肉体がある。

よおし、まずは準備完了。
俺はそのまま壁を通り抜け、亜美さんの住む部屋へと移動した。
当然深夜だからドアには鍵がかかっているんだが、俺には関係ない。
易々とドアを通り抜け、中に忍びこんだ。

さすがにこの時間だ。
二人ともすでに寝ているらしく、部屋は真っ暗だった。
俺は恐る恐る、寝室へと移動した。

――いた!
寝室に、2人の姿を発見する。
窓から漏れる月明かりに、亜美さんと美織ちゃんの寝姿が照らされている。
今日は記録的な猛暑だったので、深夜でも気温は20度以上あった。

美織ちゃんは寝苦しいようで、何度も寝返りを打っている。
そして、亜美さんの方はと言うと――

(おおおおおっ!?)

彼女はなんと、タンクトップにパンツ1枚の、あられもない格好で寝ていた。
暑さの所為もあるのだろうが、一児の母であり、女手ひとつで娘を養っていかなければならない毎日だ――色気もヘッタクレもないんだろうか?
しかし逆にそんな姿が、益々俺を興奮させてくれる。

腕や太ももは寝汗でまみれている。
俺は普段ではとても見られない亜美さんの姿を、目に焼き付けるように観察した。

――この体が、俺のものになるんだ・・・
30代を半ば過ぎた年齢だと言うのに、20代と言っても全然おかしくないプロポーションだ。
それに、同世代の女の子たちでは味わえない、実にそそる肉付きをしている。
この胸も尻も太モモも、もうすぐ全てが俺のものになるんだ・・・!

普通なら俺のムスコがビンビンにいきり立つところだろうが、人魂の状態では、興奮した所で何をどうすることも出来ない。
早く「肉体」に戻らなければ!

へへ・・・それじゃあ、亜美さん・・・失礼します・・・!
俺はフワリと天井近くまで身を躍らせると、まるでプールの飛び込み台からジャンプするように、勢いよく亜美さん目掛けて急降下した。
俺の人魂が、亜美さんのふくよかな胸にズブリとめり込む。

「んあっ!?」

その瞬間、寝ていた亜美さんの体が、大きく跳ね上がった。

「あ・・・あっ!はぁっ・・・んん・・・!」

亜美さんは意識がないまま、頭を左右に振り、狂ったように悶え苦しんでいる。
まるで亜美さんの寝込みを襲っているようで、俺は激しく興奮した。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・あっ!あ、はあぁぁぁぁぁ・・・」

俺の興奮が頂点に達した瞬間――亜美さんは一度全身をプルプルと痙攣させた後、一気に脱力した。
彼女の嗚咽が、尻窄みに消えていく。

亜美さんの体を、完全に乗っ取ったのか・・・・・・?
試しに俺は、ゆっくりと目を開いてみた。
確かに瞼が持ちあがる感触。
視界には、月明かりに青く染まる天井が見えている。
体の下には柔らかいベッドの感触。
耳元に、すやすやと幼い寝息が聞こえてくる。
チラリと横を見ると、そこには確かに美織ちゃんが寝ていた。

やったぞ・・・亜美さんに乗り移ったんだ・・・!

「で・・・でへへへへへ・・・!」

夜の静寂な空気を、亜美さんの奇妙な笑い声が打ち破った。
この声も、俺の意志で発しているんだ!

「あーあーオホン。本日は晴天なり、本日は晴天なり」

咳払いし、亜美さんの声が自分の喉から聞こえてくるのを一頻り楽しむ。
へへっ、この声でどんな卑猥な言葉だって言わせられるんだ!

自分の姿をじっくり観察したくなった俺は、鏡を見ようと考えた。
しかし立ち上がろうとすると、何か重いものが俺の動きを阻んだのだ。

「!?」

よく見ると、美織ちゃんは亜美さんの体に抱きついていて、右腕がその下敷きとなっていた。
困ったな・・・これじゃあベッドから脱け出せない。
下手に動かそうとして、美織ちゃんに目を覚まされたら全てがパーだもんな・・・

仕方なく俺は、この状態で亜美さんの体を探索する事にした。
自由な左手を、亜美さんのお腹の上に持って来る。
汗に抜かるんだお腹は、それでもしかしスベスベの手触りだ。

くびれたラインに指を這わせると、勝手に口から笑いが漏れた。
本来、太っている俺の体がこんな細い腰つきをしてるんだもんな。
とても現実の事とは思えないぜ。
俺の、亜美さんの口から熱い吐息が漏れる。
俺は天井を見上げたまま、わざと体を見ずにタンクトップの上から胸を鷲掴みにした。

「あんっ!」

下には当然ブラを付けていないので、柔らかい乳房の感触が掌一杯に広がる。
ああ・・・今俺は、亜美さんの・・・亜美さんのオッパイを揉んでいるんだ・・・!

なんて柔らかい。
なんて気持ちいい。

10代の女の子では決して味わえない成熟した大人の乳房だ。
体を揺するだけでプルプル震えるその弾力は、男の俺に取ってはそれだけで堪らない魅力だった。

やっぱ亜美さん・・・美織ちゃん生んだんだし、死んだ旦那さんと何度も何度もヤってたんだよな?
ここも・・・男を知ってるんだよな・・・?
俺はパンツの上から、亜美さんのアソコを撫で擦った。

――湿っている。
亜美さんが・・・欲情しているんだ・・・!
俺に、胸を揉まれて!

「ああん・・・もっと・・・もっと強く揉んでぇ」

俺は亜美さんの真似をしながら、タンクトップの中に手を突っ込み、直接乳首を摘み上げた。

「あひゃっ!」

その瞬間、亜美さんの腰が勝手に跳ね上がった。
な、なんて気持ちいいんだ・・・!
まったく亜美さんのカラダは最高だ。

「んん・・・いいわぁ」

普段からは考えられない台詞を、亜美さんに言わせる。
近所の優しいお母さんが、こんな卑猥な言葉を吐き出すなんて・・・

再び股間に手を這わせると、さっきよりも更に湿り気が広がっていた。
クリトリスがピーンと勃ち、パンツの生地を押し上げているのが分かった。
堪らなくなり、俺はパンツの中に指を忍ばせた。

「ひゃうんっ!」

洪水のように蜜を溢れさせている割れ目に指を突っ込むと、素っ頓狂な悲鳴が、喉の奥から飛び出した。
こ、これが・・・女の快感・・・・・・・!
想像以上の衝撃に、たちまち頭の中が真っ白になる。
俺は猿のように、アソコを弄る事だけに没頭した。

ハァハァと、亜美さんの喘ぎ声が熱を帯びて、淫靡な音色を奏でる。
寝苦しい暑さの中で、体中を汗まみれにしながら、ヨダレを垂らし、股間からイヤらしい汁を滴らせ、ベッドの上で身悶えている亜美さん。

隣りには娘が寝ていると言うのに、開いた窓から声が外に漏れていると言うのに、恥ずかしげもなく自分の体を慰めている。
自分が出させている声に、自分がさせている行為に、俺は益々欲情を昂ぶらせていった。
両手でこの体を攻めたいのに、片腕が使えないと言うのがもどかしい。

しかしその時、俺は動けない亜美さんの右腕が、寝返りを打った美織ちゃんの股の間にある事に気付いた。
悪戯心を芽生えさせ、俺は動けない手で指先だけを操り、美織ちゃんの股間を撫で回しはじめる。

スヤスヤと眠る美織ちゃんは、こちらにまったく警戒していない。
・・・って、当たり前か。
一緒に寝ている母親に、なんで娘が警戒する?
しかしその母親は娘に対し、有り得ない行動を取っているんだ。

可愛いお尻の間の、まだあどけない恥丘をスリスリと撫で擦る。
まだ「女」として目覚めていない少女の股間に悪戯した所でちっとも興奮しないが、それをしているのが実の母親だと考えると、途端に背徳感に背筋が震える。

幼いとは言え、それでも多少は気持ちいいんだろうか?
俺が愛撫を続けていると、美織ちゃんは微かに「ううん」と、呻き声を上げた。

その声に、俺の中の獣が爆発した。
亜美さんの口から、興奮した犬のように荒い息遣いが聞こえてくる。

愛娘の体を辱めながら興奮する亜美さんと言う信じられないシチュエーションに、俺はもはや理性を失っていた。
美織ちゃんの股間を苛めながら、同時に亜美さんの体を凌辱し、俺は魂も吐き出す程の絶叫と共に――フィニッシュを迎えた。

「う、ん、はあっ」

その衝撃に、肉体から飛び出してしまう。
天井に浮き上がった俺の下では、亜美さんが豊満なその胸を上下させ、艶のある息を吐き出しながら、頬を赤く染め、激しい動きで掻いた汗と、股間の辺りにシミを作った姿で、グッタリとしていた。

へへへ・・・俺、亜美さんの体で女の絶頂を体験したんだ!
そしてそれと同時に、俺の指で亜美さんをイカせてしまったんだ。
横を見ると、美織ちゃんはさっきっと変わらず、幸せそうな顔で寝ている。

・・・明日は美織ちゃんに乗り移って、亜美さんに悪戯しちゃおうか?
そんな事を考えながら、取りあえず今日は自分の部屋に戻る事にした。

ああ・・・朝、俺は亜美さんの顔をまともに見れるのだろうか?
もはや彼女の全てを知ってしまった今、平然と会話なんてできるハズもないっての。
多少の罪悪感を胸に抱きつつ、俺はドアを通り抜け、亜美さんの部屋を後にした。

<おわり>



・本作品はフィクションであり、実際の人物、団体とは一切関係ありません。
・本作品を無断に複製、転載する事はご遠慮下さい。
・本作品に対するご意見、ご要望があれば、grave_of_wolf@yahoo.co.jpまでお願いします。

 戻る

inserted by FC2 system